2006年09月30日
宮本 輝 『錦繍』
「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」
元夫婦だった二人が、想像もできない場所で再会する。
一番最初に読んだとき、これから始まる話になんだか緊張感を覚えました。
蔵王の紅葉が眼下に広がる、ゴンドラに偶然乗り合わせる、
なんだか読んではいけないような、そんな切なさがありました。
再会したときの元夫のあまりにやつれた、ただ事ではない容貌と表情から
元妻は手紙を送ります。その最初の手紙の書き出しがこの本の冒頭部分です。
実はこのお話は、すべて往復書簡で成り立っています。
人間にはずるくて、悲しくて、切ない部分がある。
でもそれも含めて生きていかなくてはならない。
とにかく何度読んでも嗚咽してしまうほど感動します。
宮本輝の作品は大体読んでいますが、私はこの『錦繍』が好きです。
タイトルのとおり、秋にぴったりです。
秋の夜長に、深く考えさせられる一冊です。
仙台だてBLOGスタッフ ayu
Posted by だてBLOGスタッフ at 15:27│Comments(8)
│小説
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優駿ここに地終わり海始まる愉楽の園オレンジの壺これらは、私が読んだ、作:宮本輝の小説です。(並びは、読んだ順)非常に読みやすく、特に『優駿』がお気に入り。PRクリック
優駿【駆ける衝撃】at 2007年03月24日 18:56
この記事へのコメント
やられたなー
Posted by あきお at 2006年09月30日 16:38
書簡から成る小説は、それ自体、他人の人生を覗きみているような
いけない気持ちになりますものね。
足許に口をあける深い渕を垣間見る瞬間、
その瞬間を美しい日本語で表現する
宮本輝、わたしも好きです。
装丁も美しい、まさに読書の秋にぴったりの一冊ですね。
いけない気持ちになりますものね。
足許に口をあける深い渕を垣間見る瞬間、
その瞬間を美しい日本語で表現する
宮本輝、わたしも好きです。
装丁も美しい、まさに読書の秋にぴったりの一冊ですね。
Posted by まさえ at 2006年09月30日 17:54
おのれで望んでいるこたえは
出ぬのが人生よのう。
学ぶことじゃ。
わかものよ。
出ぬのが人生よのう。
学ぶことじゃ。
わかものよ。
Posted by ごんぞう at 2006年09月30日 19:45
非常に興味深いですなぁ~!
かなり読んでみたくなりましたでござる。
かなり読んでみたくなりましたでござる。
Posted by ジョジョ at 2006年10月01日 08:58
今まで全く読むことの無かったジャンルです。。。
ayuさんのあの一文を見ただけで、その世界が広がりました。
この秋は少し切ない世界を体験したいと思います。
ayuさんのあの一文を見ただけで、その世界が広がりました。
この秋は少し切ない世界を体験したいと思います。
Posted by zuki at 2006年10月01日 17:38
う〜ん、冒頭部分の一文からかなり引きつけられますね。
宮本輝は読んだことがなかったので、まずはこのayuさんのおすすめから読んでみたいと思います!
宮本輝は読んだことがなかったので、まずはこのayuさんのおすすめから読んでみたいと思います!
Posted by ジョニー at 2006年10月02日 01:06
錦繍を読んで宮元輝をもっと読みたい人は、
次何をよめばいいでしょうね。。。
僕なら「夢見通りの人々」か「私たちが好きだったこと」を
お勧めします。作品の中ではずいぶん前のものですが、
とっても面白いですよ。
心があたたまります。
次何をよめばいいでしょうね。。。
僕なら「夢見通りの人々」か「私たちが好きだったこと」を
お勧めします。作品の中ではずいぶん前のものですが、
とっても面白いですよ。
心があたたまります。
Posted by まさ at 2006年12月10日 23:14
〔中国語.香港から〕
去年十一月在某大學圖書館舊書攤邂逅宮本先生的俄文版「錦繡」,一個月後的十二月才無心插柳的撿上手來看。因好奇跑到圖書館借來中譯本,怎料自始弄出一發不可收拾的局面,後悔莫及:
1. 從公共和所有大學的圖書館借走他所有作品的中文版,一頁不放過。
2. 在誠品網上買了在所有圖書館都借不到的。
3. 太愛「錦繡」了,雖然兩天看完,續借又續借再續借,久久都不願還… … 雖然不會日語,拜託崇光旭屋書店購買的日文原版,應該兩星期後到港。
4. 兩星期前買了「道頓堀川」的VCD,正在想辦法找「幻之光」、「泥河」的光碟來看。
5. 現在正啃「月光之東」,吃得津津有味,還有八十五頁。正懇切期待「約束の冬」會有高人翻譯。
我想… . 我準是瘋了。
你們在讀哪本呢?
發現了宮本輝是2006年最大最好的聖誕禮物。
http://www.terumiyamoto.com
2007. 01. 12
去年十一月在某大學圖書館舊書攤邂逅宮本先生的俄文版「錦繡」,一個月後的十二月才無心插柳的撿上手來看。因好奇跑到圖書館借來中譯本,怎料自始弄出一發不可收拾的局面,後悔莫及:
1. 從公共和所有大學的圖書館借走他所有作品的中文版,一頁不放過。
2. 在誠品網上買了在所有圖書館都借不到的。
3. 太愛「錦繡」了,雖然兩天看完,續借又續借再續借,久久都不願還… … 雖然不會日語,拜託崇光旭屋書店購買的日文原版,應該兩星期後到港。
4. 兩星期前買了「道頓堀川」的VCD,正在想辦法找「幻之光」、「泥河」的光碟來看。
5. 現在正啃「月光之東」,吃得津津有味,還有八十五頁。正懇切期待「約束の冬」會有高人翻譯。
我想… . 我準是瘋了。
你們在讀哪本呢?
發現了宮本輝是2006年最大最好的聖誕禮物。
http://www.terumiyamoto.com
2007. 01. 12
Posted by HS at 2007年01月12日 17:34